高額医療費制度改定は、妊娠出産にどう影響する?

妊娠中に得た保険給付 つわり関連のニュース

2015年1月から、世帯年収770万以上のご家庭で、高額医療費の自己負担額がアップするそうです。
妊娠にかかわる入院や手術でどのくらい負担増になるか、検証してみました。

現行の高額医療費制度での負担割合(2014年12月迄)

下記は、2014年時点の、月単位の自己負担限度額の表です。

世帯年収770万円までの家庭 世帯年収770万円以上の家庭 低所得者(非課税世帯)
80,100円+(医療費総額-267,000円)×0.01 150,000円+(医療費総額-500,000円)×0.01 35,400円

今後の高額医療費制度での負担割合(2015年1月~)

次に、2015年1月から適用される、自己負担限度額の表を出します。
世帯年収770万円以下のご家庭は変わりませんので、変化のある部分のみ記載しています。

世帯年収770万円~1160万円までの家庭 世帯年収1160万円以上の家庭
167,400円+(医療費総額-558,000円)×0.01 252,600円+(医療費総額-842,000円)×0.01

子宮外妊娠と卵巣嚢腫を例に負担額の変化について考える

以前私は子宮外妊娠と卵巣嚢腫を併発し、月をまたいで1ヶ月強の入院をしました。
この間、抗がん剤投与→子宮内ソウハ→右卵管切除→左卵巣腫瘍切除と、1回の入院で複数の処置をして頂きました。

かかった費用は、健康保険3割負担適用後の金額で、トータル約58万円、
明細書によると、初月約23万円、次月約35万円という内訳だそうです。

この時の経験をベースに、世帯年収770万円以上の方の負担がどう変わるか見て行きたいと思います。

現行の制度での自己負担額

高額医療費制度は、月ごとに適用される制度です。ですので、月をまたいだ入院の場合は、初月と次月別々に計算されます。

現行の制度ですと、年収770万円以上の方は、

【初月】
150,000円+(230,000-267,000円)×0.01=150,000円の自己負担限度額

【次月】
150,000円+(350,000-267,000円)×0.01=150,830円の自己負担限度額

上記のようになり、両月合わせて30万830円の自己負担で済むことになります。
結果、58万円の支払い分の内、27万9170円が戻ってくることになります。

制度改定後の自己負担額

先の例で言いますと、制度改定後の自己負担額は以下のようになります。

年収770万円以上1160万円以下のご家庭

【初月】
167,400円+(230,000-558,000円)×0.01=167,400円の自己負担限度額

【次月】
167,400円+(350,000-558,000円)×0.01=167,400円の自己負担限度額

上記のようになり、両月合わせて33万4000円の自己負担となります。

結果、58万円の支払い分の内、24万6000円が戻ってくることになります。改定前と比べると、3万3170円の負担増ですね。結構な金額です。

年収1160万円以上のご家庭

今の時代、ダブルインカムでガツガツ働かれている世帯も珍しくはなくなってきましたし、世帯年収が1160万円を越えるご家庭も以前より増えているのかもしれません。
先の例をこちらにも当てはめて見ます。

【初月】
252,600円+(230,000-842,000円)×0.01=252,600円の自己負担限度額

【次月】
252,600円+(350,000-842,000円)×0.01=252,600円の自己負担限度額

あれ、初月は自己負担限度額内になっちゃいました。

この例の場合ですと、戻ってくるお金は次月分の9万7400円となります。

これまでの制度なら27万9170円も戻ってきていたことを考えると切ないですね…。

子供を複数人育てながら仕事でも活躍されている方だっていらっしゃるかと思います、いくら年収が高いと言えど、それぞれの生活レベルというものだってありますし、急な病気による負担というのは決して軽いものではないとお察しします。
税金をより払っているのも高収入世帯であることを考えますと、ちょっと酷いんじゃないかと思えてしまいます。

帝王切開の場合はどうか?

当サイトは悪阻&妊娠対策ブログですので、以下、妊婦さんの5人に1人が体験すると言われている、帝王切開に当てはめて検証していきたいと思います。

まず、帝王切開にかかる費用は、40万円~100万円と言われています。
(金額の幅がすさまじいですが、これはお世話になる医療機関によって金額がまちまちな為で、中央値としては60万円程度だそうです。)

帝王切開での出産は保険内診療部分と保険外診療部分があり、保険内診療部分のみ高額医療費制度が適応されます。
私の場合、トータルで54万円、保険内診療部分は約22万円でした。

この額を現行の制度に当てはめて計算すると、世帯年収770万円以上の家庭の場合、

150,000円+(220,000-267,000円)×0.01=150,000円

自己負担限度額は15万円となり、58万円支払った内の7万円が、高額医療制度によって戻ってくる形となります。

これを、改定後の制度に当てはめて計算すると、世帯年収770万円~1160万円までの家庭の場合、

167,400円+(220,000-558,000円)×0.01=167,400円

自己負担限度額は16万7400円となり、58万円支払った内の5万2600円が、高額医療制度によって戻ってくる形となります。
制度改定前と比べて2万2600円の負担増ですね。

世帯年収1160万円以上の家庭に当てはめて計算すると、

252,600円+(220,000-842,000円)×0.01=252,600円

自己負担限度額は25万2000円となり、1160万円以上世帯はなんと1円も戻ってこない形になってしまいます。

今回のまとめ

収入が高い世帯は、今後医療費負担の割合が増すことになります。
出産自体で大きな差は出ないと言えそうですが、生活水準が高い世帯であればある程、稼ぎ手に何かあった場合に、痛手をこうむりそうです。

新しい家族を迎えるにあたって、やはりリスクヘッジはしておきたいところです。貯金や保険は大事ですね。

ご参考:私が保険で3ケタ越えの給付金をもらった話